【怪人二十面相】(一 .序章)江戶川亂步|日漢對照

K-20怪人二十面相電影海報


今天開始發佈江戶川亂步的「怪人二十面相」,也是我首次改用日漢對照發佈,會否繼續這形式要視乎讀者反應,發佈進度亦希望能能維持一星期發佈一次。


作品︰ 怪人二十面相(一.序章)
作者︰ 江戶川亂步
翻譯︰ 小說熊 (日本小說翻譯室)
原文︰ 青空文庫【怪人二十面相】


そのころ、東京中の町という町、家という家では、ふたり以上の人が顔をあわせさえすれば、まるでお天気のあいさつでもするように、怪人「二十面相」のうわさをしていました。

最近在東京的街頭巷尾,只要聚集二人以上,人們都像在談論天氣一樣談論起「怪人二十面相」的傳聞。

「二十面相」というのは、毎日毎日、新聞記事をにぎわしている、ふしぎな盗賊のあだ名です。その賊は二十のまったくちがった顔を持っているといわれていました。つまり、変装がとびきりじょうずなのです。

「二十面相」是每天在報章上炒作得沸沸揚揚的那位不可思議的盜賊的綽號。人們說這盜賊擁有二十張不同面相。也就是說,他的易容術實在相當了得。

どんなに明るい場所で、どんなに近よってながめても、少しも変装とはわからない、まるでちがった人に見えるのだそうです。老人にも若者にも、富豪にも乞食にも、学者にも無頼漢にも、いや、女にさえも、まったくその人になりきってしまうことができるといいます。

據說無論地方多明亮、人走得多近也絲毫看不穿他在易容,他看來根本就變了另一個人。無論老者少年、富翁乞丐又或是學者流氓 … 不,就算是女人,他都能全無破綻地化身成那人。

では、その賊のほんとうの年はいくつで、どんな顔をしているのかというと、それは、だれひとり見たことがありません。二十種もの顔を持っているけれど、そのうちの、どれがほんとうの顔なのだか、だれも知らない。いや、賊自身でも、ほんとうの顔をわすれてしまっているのかもしれません。それほど、たえずちがった顔、ちがった姿で、人の前にあらわれるのです。

說到這盜賊的年齡和長相,根本沒有人知道。在二十張臉孔中,沒有人知道哪張才是他的真正臉孔。不,這盜賊因為不停以不同臉孔模樣示人,或許就連他自己也已經忘記哪張才是他的真正臉孔。

そういう変装の天才みたいな賊だものですから、警察でもこまってしまいました。いったい、どの顔を目あてに捜索したらいいのか、まるで見当がつかないからです。

這盜賊猶如易容天才,所以警察都傷透了腦筋。他們全無頭緒,根本不知應該追尋哪張臉孔才對。

ただ、せめてものしあわせは、この盗賊は、宝石だとか、美術品だとか、美しくてめずらしくて、ひじょうに高価な品物をぬすむばかりで、現金にはあまり興味を持たないようですし、それに、人を傷つけたり殺したりする、ざんこくなふるまいは、一度もしたことがありません。血がきらいなのです。

然而值得慶幸是,這名盜賊只偷竊寶石和美術品等美麗、珍貴而價值連城的東西,他看來對現金不感興趣,亦不會傷人殺人。他不愛見血,從沒犯過一宗殘酷的案件。

しかし、いくら血がきらいだからといって、悪いことをするやつのことですから、自分の身があぶないとなれば、それをのがれるためには、何をするかわかったものではありません。東京中の人が「二十面相」のうわさばかりしているというのも、じつは、こわくてしかたがないからです。

儘管說他不愛血腥,但始終是個幹壞事的壞蛋。當身陷險境而要逃亡時,說不定會幹出甚麼難以估計的事情來。而東京到處盡是談論「二十面相」的傳聞,事實上也是因為怕他怕得不得了所致。

ことに、日本にいくつという貴重な品物を持っている富豪などは、ふるえあがってこわがっていました。今までのようすで見ますと、いくら警察へたのんでも、ふせぎようのない、おそろしい賊なのですから。

尤其是在日本擁有多件貴重物品的富豪就更怕得寢食難安。這是由於以至今的情況而言,即使預報警方也是難以阻止這名可怕盜賊來把東西拿走的。

この「二十面相」には、一つのみょうなくせがありました。何かこれという貴重な品物をねらいますと、かならず前もって、いついく日にはそれをちょうだいに参上するという、予告状を送ることです。賊ながらも、不公平なたたかいはしたくないと心がけているのかもしれません。それともまた、いくら用心しても、ちゃんと取ってみせるぞ、おれの腕まえは、こんなものだと、ほこりたいのかもしれません。いずれにしても、大胆不敵傍若無人怪盗といわねばなりません。

這個「二十面相」有一個奇怪的癖好,就是每當瞄上某件貴重東西時,都必定預先送上預告字條說明哪天拿取。這或許是因為他雖是盜賊,卻不願意在不公平情況下比拼。又或許是因為他對自己的本事感到自豪,心想「我的本事之大,無論你怎樣提防,都只能眼巴巴的看我拿走而已。」無論前者或後者,也只能說他是一位膽大包天、目中無人的怪盜。

このお話は、そういう出没自在神変ふかしぎの怪賊と、日本一の名探偵明智小五郎との、力と力、知恵と知恵、火花をちらす、一うちの大闘争の物語です。

這故事講述的是關於這位神出鬼沒的怪盜和全日本最享負盛名的偵探明智小五郎之間的一場鬥智鬥力、併發火花的對決。

大探偵明智小五郎には、小林芳雄という少年助手があります。このかわいらしい小探偵の、リスのようにびんしょうな活動も、なかなかの見ものでありましょう。

大偵探明智小五郎有一位少年助手,名字叫小林芳雄。這位可愛小偵探的行動猶如松鼠一樣敏捷,這也是本故事的看點。

さて、前おきはこのくらいにして、いよいよ物語にうつることにします。

好了,前言說得差不多,也是時候讓故事開演了。





第一部份完

快速連結

怪人二十面相(一.序章)
怪人二十面相(二.捕獸器)
怪人二十面相(三.是人?是魔?)
怪人二十面相(四.魔術師)
怪人二十面相(五.池塘中)
怪人二十面相(六.樹上的怪人)
怪人二十面相(七.壯二的下落)
怪人二十面相(八.少年偵探)
怪人二十面相(九.佛像的奇跡)
怪人二十面相(十.陷阱)
怪人二十面相(十一.七件工具)

江戶川亂步 其他作品
日本小說翻譯室 文章目錄
日本小說翻譯室 Facebook 專頁

延伸連結