【怪人二十面相】(二.捕獸器)江戶川亂步|日漢對照





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怪人二十面相(一.序章)


作品︰ 怪人二十面相(二.捕獸器)
作者︰ 江戶川亂步
翻譯︰ 小說熊 (日本小說翻譯室)
原文︰ 青空文庫【怪人二十面相】


麻布の、とあるやしき町に、百メートル四方もあるような大邸宅があります。

一座邊長超過一百米的大宅座落在麻布的某個住宅區內。

四メートルぐらいもありそうな、高い高いコンクリートが、ズーッと、目もはるかにつづいています。いかめしい鉄のとびらの門をはいると、大きなソテツが、ドッカリとわっていて、そのしげった葉の向こうに、りっぱな玄関が見えています。

高約四米的混凝土圍牆延伸至遠處。戒備森嚴的鐵閘後面種植著一棵棵巨大的鐵樹。在繁茂的樹葉後方,可以看到氣派不凡的宅門。

いくともしれぬ、広い日本建てと、黄色い化粧れんがをはりつめた、二階建ての大きな洋館とが、かぎの手にならんでいて、その裏には、公園のように、広くて美しいお庭があるのです。

一座房間數目眾多的日式樓房,一座外牆舖著黃色瓦磚的雙層西洋公館,兩者並排坐落在車路盡頭的拐彎處。它們背後是一個廣闊如公園的漂亮庭園。

これは、実業界の大立者羽柴壮太郎氏の邸宅です。

這裡就是首屈一指的大實業家羽柴壯太郎的宅邸。

羽柴家には、今、ひじょうな喜びと、ひじょうな恐怖とが、織りまざるようにして、おそいかかっていました。

此時對於羽柴家來說,極度的喜悅與恐懼正向他們交織而來。

喜びというのは、今から十年以前に家出をした、長男の壮一君が、南洋ボルネオ島から、おとうさんにおわびをするために、日本へ帰ってくることでした。

他們感到高興的是,出走十年的長子壯一決定從南洋的婆羅洲回來向父親賠罪。

壮一君は生来の冒険児で、中学校を卒業すると、学友とふたりで、南洋の新天地に渡航し、何か壮快な事業をおこしたいと願ったのですが、父の壮太郎氏は、がんとしてそれをゆるさなかったので、とうとう、むだんで家をとびだし、小さな帆船に便乗して、南洋にわたったのでした。

壯一天生是個愛冒險的孩子。原本他希望在初中畢業後跟同學二人一起乘船到南洋這片新天地開創事業。然而父親壯太郎堅決反對,所以壯一最終貿然出走,乘坐小帆船渡海前往南洋。

それから十年間、壮一君からはまったくなんのたよりもなく、ゆくえさえわからなかったのですが、つい三ヵ月ほどまえ、とつぜん、ボルネオ島のサンダカンから手紙をよこして、やっと一人まえの男になったから、おとうさまにおわびに帰りたい、といってきたのです。

自此,壯一一去十年,音訊全無。直到三個月前,壯一突然從婆羅洲的生打根寄來一封信,表示自己已經事業有成,希望回來向父親賠罪。

壮一君は現在では、サンダカン付近に大きなゴム植林をいとなんでいて、手紙には、そのゴム林の写真と、壮一君の最近の写真とが、同封してありました。もう三十歳です。鼻下にきどったひげをはやして、りっぱな大人になっていました。

壯一目前在山打根附近經營一個規模很大的橡樹林。他在信中附上了橡樹林的照片和他自己的近照。壯一已經年過三十,鼻下留著高雅的小鬍子,已是一位一表人才的成年人。

おとうさまも、おかあさまも、妹の早苗さんも、まだ小学生の弟の壮二君も、大喜びでした。下関で船をおりて、飛行機で帰ってくるというので、その日が待ちどおしくてしかたがありません。

無論父親、母親、妹妹早苗、以及還在小學的弟弟壯二,他們全都感到非常高興。壯一說他在下關下船以後將搭乘飛機回來,於是他們都急不及待地期待這天的來臨。

さて、いっぽう羽柴家をおそった、ひじょうな恐怖といいますのは、ほかならぬ「二十面相」のおそろしい予告状です。予告状の文面は、

另一方面,令羽柴家非常恐懼的卻是「二十面相」送來的預告字條。其大意如下:

「余がいかなる人物であるかは、貴下も新聞紙上にてご承知であろう。

貴下は、かつてロマノフ王家宝冠をかざりしダイヤモンド六個を、貴家の家宝として、珍蔵せられると確聞する。

余はこのたび、右六個のダイヤモンドを、貴下より無償にてゆずりうける決心をした。近日中にちょうだいに参上するつもりである。

正確な日時はおってご通知する。

ずいぶんご用心なさるがよかろう。」/p>

というので、おわりに「二十面相」と署名してありました。

「我是誰,相信閣下早已從報章得知。

在下得到可靠消息,知道閣下收藏了當年羅曼諾夫王朝皇冠上的六顆巨鑽作為傳家之寶。

在下已決定接收這六顆鑽石,兩天後會前來拿取。正確時間稍後會再通知。

還請閣下小心保管鑽石。」

署名為「二十面相」。

そのダイヤモンドというのは、ロシアの帝政没落ののち、ある白系ロシア人が、旧ロマノフ家の宝冠を手に入れて、かざりの宝石だけをとりはずし、それを、中国商人に売りわたしたのが、まわりまわって、日本の羽柴氏に買いとられたもので、にして二百万円という、貴重な宝物でした。

這些鑽石是在俄羅斯帝國覆亡後,一名白俄人取得了昔日羅曼諾夫王朝的皇冠,然後從皇冠摘下這些鑽石。這位白俄人把它們賣給一位中國商人,接著這些鑽石經過多番轉手,最終被羽柴買了。這些珍貴的寶物聽說價值高達二百萬日元。

その六個の宝石は、げんに、壮太郎氏の書斎の金庫の中におさまっているのですが、怪盗はそのありかまで、ちゃんと知りぬいているような文面です。

這六顆寶石雖然目前收藏在壯太郎書房的保險箱內,然而根據字條的大意來看,怪盜似乎對收藏的位置已經瞭如指掌。

その予告状をうけとると、主人の壮太郎氏は、さすがに顔色もかえませんでしたが、夫人をはじめ、お嬢さんも、召使いなどまでが、ふるえあがってしまいました。

壯太郎不愧是一家之主,收到這預告字條後依然面不改容。然而,夫人、小姐和傭人這時已經驚慌失措,全身抖震。

ことに羽柴家の支配人近藤老人は、主家の一大事とばかりに、さわぎたてて、警察へ出頭して、保護をねがうやら、あたらしく、猛犬を買いいれるやら、あらゆる手段をめぐらして、賊の襲来にそなえました。

羽柴家的老管家近藤更把此事視為主人的頭等大事,吵吵嚷嚷地要求警方提供保護,並且買來一頭惡犬,千方百計防範賊人來偷襲。

羽柴家の近所は、おまわりさんの一家が住んでおりましたが、近藤支配人は、そのおまわりさんにたのんで、非番の友だちを交代に呼んでもらい、いつも邸内には、二―三人のおまわりさんが、がんばっていてくれるようにはからいました。

羽柴家附近住著一家巡警,因此近藤管家便要求巡警喚來休班的友人輪流駐守,讓宅內經常都有兩三名巡警在。

そのうえ壮太郎氏の秘書が三人おります。おまわりさんと、秘書と、猛犬と、このげんじゅうな防備の中へ、いくら「二十面相」の怪賊にもせよ、しのびこむなんて、思いもよらぬことでしょう。

除此以外,壯太郎還有三名秘書。在巡警、秘書、惡犬等的嚴密防備下,即使是怪盜「二十面相」,看來也很難潛入這座大宅。

それにしても、待たれるのは、長男壮一君の帰宅でした。

話雖如此,他們真正期待的卻是長子壯一回家的事。

徒手空拳、南洋の島へおしわたって、今日の成功をおさめたほどの快男児ですから、この人さえ帰ってくれたら、家内のものは、どんなに心じょうぶだかしれません。

壯一昔日身無分文,飄洋過海前往南洋小島,如今已經成為擁有一番事業的好漢。只要他回到家中,家中各人都會感到安心不少。

さて、その壮一君が、羽田空港へつくという日の早朝のことです。

這是壯一抵達羽田機場那天的清晨。

あかあかと秋の朝日がさしている、羽柴家の土蔵の中から、ひとりの少年が、姿をあらわしました。小学生の壮二君です。

秋日晨光明媚地照耀著大地,羽柴家的倉庫裡出現了一位少年,他就是小學生壯二。

まだ朝食の用意もできない早朝ですから、邸内はひっそりと静まりかえっていました。早起きのスズメだけが、いせいよく、庭木の枝や、土蔵の屋根でさえずっています。

因為這時還未預備早飯,大宅內還是一片寂靜,只有早起的麻雀站在花園的樹枝和倉庫頂上啼叫。

その早朝、壮二君がタオルのねまき姿で、しかも両手には、何かおそろしげな、鉄製の器械のようなものをだいて、土蔵の石段を庭へおりてきたのです。いったい、どうしたというのでしょう。おどろいたのはスズメばかりではありません。

在這個清晨,壯二穿著睡衣從倉庫的石階走下庭園,雙手抱著一件可怕的鐵製器具。這到底是怎麼一回事?驚訝的不僅僅是麻雀。

壮二君はゆうべ、おそろしい夢をみました。「二十面相」の賊が、どこからか洋館の二階の書斎へしのびいり、宝物をうばいさった夢です。

壯二昨晚做了個惡夢。夢中看見賊人「二十面相」潛入了西洋公館的二樓書房內把寶物偷走了。

賊は、おとうさまの居間にかけてあるお能の面のように、ぶきみに青ざめた、無表情な顔をしていました。そいつが、宝物をぬすむと、いきなり二階の窓をひらいて、まっくらな庭へとびおりたのです。

賊人面容毫無表情,那蒼白的面容令人毛骨悚然,就像是父親內廳牆上掛著的能劇面具一般。那壞蛋偷走寶物後,突然打開二樓的窗戶,然後縱身一躍,消失於漆黑的庭園中。

「ワッ。」といって目がさめると、それはさいわいにも夢でした。しかし、なんだか夢と同じことがおこりそうな気がしてしかたがありません。

壯二「哇!」地叫了一聲,驚醒了過來。慶幸地發現原來只是個夢。然而,他卻有一份強烈的預感,感覺現實可能會跟夢境一樣。

「二十面相のやつは、きっと、あの窓から、とびおりるにちがいない。そして、庭をよこぎって逃げるにちがいない。」

壮二君は、そんなふうに信じこんでしまいました。

「二十面相那壞蛋肯定會從那扇窗戶跳下去,然後逃離庭園。」壯二深信不疑。

「あの窓の下には花壇がある。花壇がふみあらされるだろうなあ。」そこまで空想したとき、壮二君の頭に、ヒョイと奇妙な考えがうかびました。

「那扇窗戶下是個花圃,或許他會踩進花圃。」壯二憑空推測著。與此同時,腦海中浮現出一個古怪的想法。

「ウン、そうだ。こいつは名案だ。あの花壇の中へわなをしかけておいてやろう。もし、ぼくの思っているとおりのことがおこるとしたら、賊は、あの花壇をよこぎるにちがいない。そこに、わなをしかけておけば、賊のやつ、うまくかかるかもしれないぞ。」

「嗯,對了。這個主意不錯。我就在花圃裡設下陷阱。如果我猜對,賊人肯定會穿過花圃。在這裡設下陷阱,或許就能抓住他了。」

壮二君が思いついたわなというのは、去年でしたか、おとうさまのお友だちで、山林を経営している人が、鉄のわなを作らせたいといって、アメリカ製の見本を持ってきたことがあって、それがそのまま土蔵にしまってあるのを、よくおぼえていたからです。

壯二所想的陷阱就是去年他父親一位經營林木生意的友人請求他們製作的一個美製捕獸器的樣本。壯二清楚記得捕獸器就放在倉庫裡。

壮二君は、その思いつきにむちゅうになってしまいました。広い庭の中に、一つぐらいわなをしかけておいたところで、はたして賊がそれにかかるかどうか、うたがわしい話ですが、そんなことを考えるよゆうはありません。ただもう、無性にわなをしかけてみたくなったのです。そこで、いつにない早起きをして、ソッと土蔵にしのびこんで、大きな鉄の道具を、エッチラオッチラ持ちだしたというわけなのです。

壯二沉浸在自己的想法之中。雖說在偌大的庭園內設置一個陷阱便想抓住賊人實在是妙想天開,但壯二沒有多想,只是不顧一切地想這樣做。於是他今天起得特別早,悄悄走進倉庫,費力地搬出了那個巨大的鐵器具。

壮二君は、いつか一度経験した、ネズミとりをかけたときの、なんだかワクワクするような、ゆかいな気持を思いだしました。しかし、こんどは、相手がネズミではなくて人間なのです。しかも「二十面相」という希代の怪賊なのです。ワクワクする気持は、ネズミのばあいの、十倍も二十倍も大きいものでした。

壯二曾經有過一次安裝捕鼠器的經驗。這時他再次想起當時那份雀躍的心情。然而今次抓的並不是老鼠,而是人類。而且還是這個聞名的怪盜「二十面相」,所以雀躍的心情就更比捕捉老鼠時要大上一二十倍。

鉄わなを花壇のまんなかまで運ぶと、大きなのこぎりめのついた二つのわくを、力いっぱいグッとひらいて、うまくすえつけたうえ、わなと見えないように、そのへんの枯れ草を集めて、おおいかくしました。

他把捕獸器搬到花圃正中央,用力打開兩個佈滿鋸齒的鐵箍。當陷阱安裝完成以後,他便到附近收集枯草,將陷阱覆蓋得滿滿的。

もし賊がこの中へ足をふみいれたら、ネズミとりと同じぐあいに、たちまちパチンと両方ののこぎりめがあわさって、まるでまっ黒な、でっかい猛獣の歯のように、賊の足くびに、くいいってしまうのです。家の人がわなにかかってはたいへんですが、花壇のまんなかですから、賊でもなければ、めったにそんなところへふみこむ者はありません。

如果賊人踏到捕獸器,兩邊黑漆漆像野獸牙齒般的鋸齒就會像捕鼠器一樣合攏,牢牢夾住賊人的足踝。雖說要是家中的人踏到就麻煩了,但這裡是花圃正中央,所以除了賊人以外,根本沒有其他人會靠近。

「これでよしと。でも、うまくいくかしら。まんいち、賊がこいつに足くびをはさまれて、動けなくなったら、さぞゆかいだろうなあ。どうかうまくいってくれますように。」

「這樣就可以了,不知能否順利?希望賊人真的被這東西夾住動彈不得。祈求一切順利。」

壮二君は、神さまにおいのりするようなかっこうをして、それから、ニヤニヤ笑いながら、家の中へはいっていきました。じつに子どもらしい思いつきでした。しかし少年の直感というものは、けっしてばかにできません。壮二君のしかけたわなが、のちにいたって、どんな重大な役目をはたすことになるか、読者諸君は、このわなのことを、よく記憶しておいていただきたいのです。

壯二合掌向天禱告,然後笑著走回屋裡。這個想法確實有些幼稚,但孩子的直覺往往不容小覷。壯二這個陷阱在日後將發揮一個非比尋常的關鍵作用,希望各位讀者牢記這一點。



第二部份完

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怪人二十面相(一.序章)
怪人二十面相(二.捕獸器)
怪人二十面相(三.是人?是魔?)
怪人二十面相(四.魔術師)
怪人二十面相(五.池塘中)
怪人二十面相(六.樹上的怪人)
怪人二十面相(七.壯二的下落)
怪人二十面相(八.少年偵探)
怪人二十面相(九.佛像的奇跡)
怪人二十面相(十.陷阱)
怪人二十面相(十一.七件工具)
怪人二十面相(十二.信鴿)
怪人二十面相(十三.特殊交易)
怪人二十面相(十四.少年小林的勝利)
怪人二十面相(十五.可怕的挑戰書)
怪人二十面相(十六.美術城)
怪人二十面相(十七.名偵探明智小五郎)

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